債務整理と聞くとほとんどの方が，あまり良いイメージを持つことはありません。しかし，２０１０年の統計では，約１０７万人の方が，クレジットもしくは消費者金融から５件以上の借り入れをしているそうです。これを人口比でみると約１２０人に１人が，金融庁の定義でいう多重債務者（５件以上の借り入れがある。）に該当します。ただし，多重債務者の定義は一義的に借り入れ件数で決めることはできませんので，実際は，もっと多くの方が多重債務で苦しんでいるはずです。つまり，多重債務の問題は，多くの人々が持つ身近な問題なのです。

多重債務の問題は，適切な手続選択により解決できることができます。そして，適切な手続きを選択するためには，専門家である司法書士及び弁護士に依頼するのが一番の近道です。

債務整理の手続きとしては，主に４つあります。まず一つは，任意整理，特定調停，次に個人再生，最後に特定調停となります。

単純に債務額のみで，どの手続きを選択するか決めることはできません。債務額が１０万円でも高齢であったり，病気等で収入が見込めない方は，当然自己破産となってしまいます。また，費用をできる限り安く収めたい場合は，専門家に依頼するのではなく，ご自身で裁判所へ特定調停を申し立てることになります。

まず，司法書士や弁護士に依頼すると債権者からの取立てがストップします。そして，取立てがストップしている間に，ご自身の家計の状況を見直すことができます。また，専門家に依頼することにより，無理な返済計画を立てたり，間違った手続き選択を避けることができます。

 日常生活において，ほとんどの方が法律専門家とは縁がありませんので，債務整理を決意しても，専門家の所へ相談に行くには勇気が必要です。ただし，時間がたてばたつほど事態は好転することは少なく悪化していくことの方が多いです。まずは，相談に行く勇気を持ってください。どこに相談に行けば分からない場合は，自治体の無料相談や司法書士会または弁護士会の相談会に行くのがいいでしょう。